眼瞼下垂手術後の乱視について
乱視は角膜の状態によって、直乱視、倒乱視、斜乱視の3種類があります。
乱視は、程度の差があるものの大半の人にあります。軽度であれば矯正する必要はありません。

49歳の女性で倒乱視の方が眼瞼下垂の手術をすると、乱視が改善しました。
右術前視力:(1.5×S-1.00D=C-1.75DAx90°)
術後視力:(1.5×S-0.75D=C-1.5DAx90 ° )
左術前視力:(1.5×S-0.50D=C-1.75DAx90°)
術後視力:(1.5×S-1.00D=C-1.50DAx90° )
- この方は皮膚弛緩の手術を施行しました。
- 術前と術後の写真を比べると、瞼のラインが下がっているのが分かります。
- 手術前は皮膚のたるみの分、眼瞼の挙上を必要以上にして瞼を開いていたために上方の角膜が平坦化して、倒乱視の縦長の角膜の形が強調されていました。
- 術後は術前に比べて瞼のラインは下がっていますが、倒乱視が改善されています。
55歳の女性で直乱視の方が眼瞼下垂の手術をすると、乱視が悪化しました。
右術前視力:(1.2×S-4.00D=C-0.75DAx160°)
術後視力:(0.9×S-4.00D=C-0.50DAx155° )
左術前視力:(1.0×S-4.75D=C-0.75DAx10°)
術後視力:(0.9×S-4.00D=C-1.75DAx10°)
- この方は挙筋腱膜挙上の手術を施行しました。
- 術前と術後の写真を比べると、瞼のラインが上がっているのが分かります。
- 右目は角膜上部を押さえていたものがなくなりましたが、もともとの乱視に大きな変化はありません。
- 左目は術後に角膜上部の圧迫が無くなったために、上方の角膜の平坦化がなくなったために直乱視が悪化しました。
このように、眼瞼下垂は瞼が黒目の部分にかかってしまうために、形が変形して乱視になっています。
眼鏡処方やコンタクト処方、白内障手術をする時には、瞼の状態を考えて処方や手術をすることが大切です。
ポイント 眼瞼下垂の手術後は、直乱視は悪化、倒乱視は改善の方向に向かうことがありますが、瞼の形で圧迫箇所が変わったり、術式によっても変わるため、注意が必要です。眼瞼下垂のある方は専門医に相談することをお勧めします!